第4章

十二時間後、私たちが降り立ったのは、ほとんどのアメリカ人には地図で場所も指せないような国だった。

空港を一歩出た途端、熱波が私たちを襲った。ディーゼルとカルダモンの匂いが混じった、窒息しそうなほど濃密な空気だ。イーサンはいつもの氷のように冷たい彼に戻っていた。まるで、機内で私が見せたささやかなアラビア語の知識など、ただのパーティーの余興だったとでも言いたげな態度で。

「車はあそこだ」彼は黒いメルセデスを顎で示した。「まずはホテルへ。現地のパートナーと会うのは明日だ」

相変わらず、妻ではなく雇い人に話しかけるような口ぶりだ。

その態度を問いただそうとした瞬間、世界が爆発した。

ドォォン!

足元の地面が突き上げられる。通りの向こうで窓ガラスが吹き飛び、政府の建物と思しき場所から、きのこ雲のような黒煙が立ち昇った。世界が終わるかのように、サイレンが鳴り響き始める。

「なんてことだ、今のは何だ?」イーサンが私の腕を掴む。その顔は真っ青だった。

脳の中で何かがカチリと音を立てた――まるでスイッチが切り替わったように。この三年で初めて、すべてがクリスタルのように澄み渡って感じられた。

「クーデターよ」私は煙を眺めながら風のパターンを計算し、言った。「あの爆発があった場所からして、反乱者たちが官庁街を制圧した。動かないと。今すぐに」

「クーデター? どうしてそんなことが――」

再び爆発音が響く。今度はもっと近い。人々が建物からあふれ出し、叫びながら四方八方へと逃げ惑う。

「質問は後!」私は彼の手を掴んだ。「走って!」

私は彼を引きずるようにしてホテルのサービス入口へと向かった。この場所について知っていることすべてが頭の中を駆け巡る。父の古いブリーフィング、ニュース報道、諜報機関の要約――それらすべてが、パズルのピースがはまるように一つに繋がっていく。

「ソフィア、一体何を――」

「黙って私を信じて!」彼に向かって怒鳴ったのは、生まれて初めてだった。一度も。「イザベラにまた会いたいなら、私の言う通りにして!」

その言葉で彼は凍り付いたが、黙って後についてきた。

ホテルのロビーは混沌としていた。十数人のアメリカ人実業家たちが、まるで声の大きさで問題が解決できるとでもいうように、可哀想なフロント係に怒鳴りつけている。

「今すぐ国外へのフライトを用意しろ!」

「大使館はどこだ、クソッ!」

「誰か我々を護衛しろ!」

外に目をやると、武装した男たちがすでに検問所を設置しているのが見えた。残された時間は数分、いや、それ以下かもしれない。

「静かに!」私は椅子の上に登った。「全員、黙って聞いて!」

ロビーは静まり返った。イーサンでさえ、まるで私に二つ目の頭でも生えたかのように呆然と見つめている。

「私はソフィア・ブラックストーン。外で起きているのは軍事クーデターよ。反乱者たちは官庁街を掌握し、交通網を封鎖している」

「金持ちのお嬢様に何が分か――」しわくちゃのスーツを着た太った男が言いかけた。

「大使館は官庁街にあるわ」私は彼の言葉を遮った。「つまり、包囲されているということ。生きてここから出たいなら、私の言うことを聞きなさい」

私はホテルの支配人に向き直り、早口のアラビア語に切り替えた。彼は目を丸くしたが、すぐに話し始めた――裏口、安全なルート、助けになりそうなことなら何でも。

「港へ抜ける道があるわ」私は皆に告げた。「フランスの貨物船よ。船長が父に恩があるの。でも、少人数で移動する。最大五人。それ以上だと標的にされる」

「どうしてあんたみたいな――」

その言葉は、正面の窓が内側に向かって爆発する音に掻き消された。武装した反乱者たちが怒鳴り声を上げながらなだれ込み、武器を構える。

私以外の全員が床に伏せた。

私は一歩前に進み、彼らに話しかけた。教科書通りのアラビア語ではない、現地の訛りが入った本物の言葉で。緊張した数分が過ぎる。やがて、彼らは頷き、裏口の方を指差した。十分だけ、と彼らは言った。それが私たちが得たすべてだった。

「まだ何か質問は?」私は周りの怯えきった顔を見回した。「五人一組。行って」

それから二時間は、裏路地と囁き声での指示が入り乱れる、めまぐるしい時間だった。一人、また一人と、私はすべてのアメリカ人をその貨物船まで送り届けた。最後の実業家がよろめきながら船に乗り込んだとき、ようやく私の脚は震え始めた。

イーサンはずっと私のそばにいた。無言だったが、まるで初めて見る他人を観察するかのように、彼が私を見つめているのを感じていた。

船は燃え盛る都市から離れていく。私たちは安全だ。今のところは。

夜はあっという間に訪れた。ほとんどの人々は疲れ果て、乗組員用の船室で眠り込んでいる。私は甲板に出て、今もなお地平線を照らす炎を眺めていた。そのとき、誰かの泣き声が聞こえた。

隅の方で、七歳くらいの小さな女の子がうずくまっていた。袖が血でびっしょりと濡れている。乗組員の一人が片言の英語で、港での榴散弾によるものだと説明した。

傷は深い。適切な処置をしなければ、すぐに感染症を起こすだろう。

私は彼女の隣にひざまずき、船の救急箱を頼んだ。手は自然に動いていた――洗浄、圧迫、縫合。父に命じられて医学部で過ごした、あの何時間もの訓練が体に染み付いていた。

「ハル ユールミク?(痛む?)」私は優しく尋ねた。

彼女は首を横に振ったが、その目はまだ恐怖で見開かれていた。

何年も前に習った古い子守唄を口ずさみ始めた。アラビア語の家庭教師がよく歌ってくれた歌だ。ゆっくりと、少女の体から力が抜け、微笑みさえ浮かべた。

「もう大丈夫よ」最後の包帯を結びながら、私は言った。

振り返ると、イーサンが戸口に立っていた。読めない表情で私をじっと見つめている。

「いつそんなことを覚えたんだ?」彼の声は静かで、慎重だった。

私は救急用品を片付けながら、どう答えるべきか迷った。その質問は、葬り去ったはずの記憶を呼び覚ます。

「大学二年生の時よ」私はようやく口を開いた。「父さんが医学部の外科の授業を聴講させたの」

「どうして?」

父の書斎で過ごしたあの午後を思い出す。彼の真剣な眼差しを。

「父は言ったわ。世界は私のような女には優しくない。私たちのような家系の女には、って。自分を守れるようにならなければいけない。そして、他の人も守れるように、と」

声が詰まった。「父さんは被害妄想だと思ってた。教授の娘がどんな危険に遭うっていうの? でも、今となっては……」

「今となっては、何なんだ?」イーサンが私の隣に腰を下ろした。

「今ならわかる。父さんはこの日が来ることを知っていたんだと思う」私は遠くの炎を見つめた。「私を準備させていたのよ。語学、医学、危機管理――思いつく限りのすべてを」

イーサンは長い間黙っていた。

「俺はずっと、君のことをただの……」彼は言葉を切り、罪悪感が声に滲んだ。「現実世界を何も知らない、甘やかされたお嬢様だと思っていた」

私は彼を見た。月明かりに照らされた彼の顔は、見慣れないものに思えた。

「三年間よ、イーサン」私は静かに言った。「あなたは一度も、私を知ろうとしなかった」

「ソフィア……」

「何が一番辛かったか、わかる?」私は続けた。「毎朝、あなたとイザベラが楽しそうに何かを笑いながらダイニングルームに入ってくるのを見ること。私は透明人間だった。あなたは仕事のこと、人生のこと、あらゆることを話していた――でも、私にではなかった」

彼の手が固く握りしめられる。

「君は興味がないと――」

「あなたが思った?」私は遮った。「この三年間、私が何に興味があるか、一度でも尋ねた? 私が何を専攻したか知ってる? 好きな本は? そもそも、私の誕生日がいつか、知ってるの?」

彼は口を開き、そして閉じた。答えは二人ともわかっていた。

私たちは、船体に打ち付ける波の音を聞きながら、そこに座っていた。

その時、それが見えた――甲板を滑るように横切り、私の胸に向かってくる赤い点が。

狙撃手。

私が身動きするより早く、イーサンが私に体当たりし、二人とも甲板に叩きつけられた。彼の体が完全に私を覆い、両腕が私の頭を包み込む。

パンッ! 私が座っていた場所の手すりを、銃弾が貫いた。

永遠に感じられる時間、私たちは身を伏せていた。彼の心臓が私の肋骨に打ち付けられる。

彼がようやく頭を上げたとき、その手が私の顔に触れた――優しく、震えていた。

「怪我は?」彼の声は掠れていた。

私は首を横に振った。この三年間、彼がこんなふうに私に触れたのは初めてだと、ふと気づいた。見せかけのためでもなく、義務でもなく、ただ私の身を案じてくれたから。

「イーサン……」

「俺は間違っていたようだ」彼の親指が私の頬を撫でた。「すべてにおいて」

揺れる甲板の上で、銃声が水面に響き渡る中、私は彼の瞳に新しい何かを見た。

冷たさではない。義務感でもない。認識。

「もしかしたら」私は囁いた。「やり直せるかもしれない」

彼は私の手を取った――私を守るためでも、体裁のためでもなく、ただ彼がそうしたいと望んだから。

遠くで都市は燃え続けていたが、私たちの間にある何かが変わった。

本物の何かが。

前のチャプター
次のチャプター