第10章
「あの子の名前は智也、あなたの弟よ。今、十三歳になったの」と、お母さんは続けた。
「私のことを知ってるの?」
お母さんは頷く。「お姉さんのことは話してあるわ。あなたに会いたがってる」
その姿を想像してみる。私と同じ目をしているけれど、同じ痛みは知らない十三歳の男の子。母親と一緒にいられた子。
その考えに胸が締め付けられる。でも、心臓の病気のせいじゃない。
「戻ろうとしたの」と、お母さんは続ける。「あなたが十六歳になった時。家まで車で行ったんだけど、光さんが出てきて」
その日のことを思い出す。誰かが訪ねてきたことで、光の様子が妙だった。道に迷った旅行者だと言っていた。...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
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