第2章

頷くけれど、喉が詰まるような感じがした。「お腹が空いてただけ。すごくいい匂い」

すると彼が微笑む。その一瞬、あまりに光にそっくりで、心臓がどきりと跳ねた。

温かいスープは、光が作ってくれたのとまったく同じ味がした。

もう一口スプーンで運び、目を閉じる。こんな食事が、あと何回あるんだろうなんて考えないように。数を数えないように。

「うまい?」と新が訊いてくる。私が気づいていないと思っている、あの注意深い眼差しでこちらをじっと見ている。

「完璧」私は彼に微笑みかける。「いつの間にそんなに料理上手になったの?」

彼は肩をすくめたけれど、喜んでいるのが見てとれた。「動画サイトで勉強したんだ。それに、兄さんの道具箱から古いレシピカードを見つけたんだ」

胸が小さく震えた。恐怖ではなく、深い愛おしさからくる震えだった。

「レシピなんて書き残してたんだ?」

「いくつかだけ。これと、パンケーキと、あと『恵美が風邪をひいた日のスープ』っていうやつ」新の声が小さくなる。「メモが書いてあったんだ。『恵美には胡椒を多めに』とか、『新は野菜多めが好き』とか」

彼に顔を見られないように、お皿に視線を落とさなければならなかった。

「彼らしいね」なんとかそう言った。

そのあとは心地よい沈黙の中で食事をした。これが普通。これが私たちの日常。偶然家族になった二人が、金曜の夜に夕食を共にしている。

この感覚を心に刻んでおかないと。いつか懐かしく思い出すために、大切にしまっておこう。

食べ終わると、私が皿洗いをすると言って譲らなかった。新は大学の願書に取り組むため自室に消え、私はシンクの前に立ち、何もかもが普通じゃないと感じる中で、どうすれば普通に振る舞えるのかを考えていた。

ステップ1:日課を続けること。

土曜の朝、私はいつも通り花屋へ向かった。春野さんはもう店に来ていて、ショーウィンドウに白いバラを飾っているところだった。

「今日は具合、良くなった?」店に入ると彼女が訊いてきた。

「ずっといいです。鉄分のサプリが効いてるみたいで」

また嘘をついた。でも春野さんは微笑んで、私にエプロンを手渡してくれた。

「よかったわ。お昼までに結婚式の注文を三件、仕上げないといけないの」

午前中はテーブル装花作りに費やした。この作業は手が覚えていて、何も考えなくてもできる。ピンクのバラにかすみ草を添えて。白いユリにユーカリを合わせて。シンプルで、きれい。

店頭のディスプレイに運ぶのに、一番重いアレンジメントを選んだ。いつもなら助けを求めるようなものだ。でも今日は、自分がまだ強いってことを証明したかった。まだ私でいられるってことを。

昼食の時間になる頃には胸が苦しくなっていたけれど、無視した。春野さんがサンドイッチを買いに行き、私は花々と、窓から差し込む午後の光と共に一人になった。

この店は、光が死んだ後、初めて安心できると感じた場所だった。新鮮な花の香りが、記憶にこびりついた煙の匂いを優しく包み隠してくれた。春野さんは余計なことは何も訊かなかった。ただ私に仕事を与え、癒えるための時間と場所をくれた。

初めてここへ足を踏み入れた日のことを思い出す。火事から三ヶ月後。私はやつれて、服がまるで借り物のようにぶかぶかで、誰かがドアから入ってくるたびにびくりと体を震わせていた。

「あなた、手持ち無沙汰みたいね」春野さんはそう言った。「リボン、結べる?」

できなかった。でも彼女が教えてくれた。それから、花の扱い方、色の組み合わせ、何もないところから美しいものを作り出すことを教えてくれた。

「あなた、センスがあるわね」最初の一週間が終わった後、彼女は言った。「この仕事、向いてるわよ」

光が死んでから、誰かに褒められたのはそれが初めてだった。

春野さんが昼食を持って戻ってきて、お孫さんのサッカーの試合の話を聞きながら一緒に食べた。普通の会話。安全な話題。

五時に歩いて家に帰り、郵便受けに寄って郵便物を手に取る。ほとんどが請求書。電力会社。水道局。そして、大学からの分厚い封筒。

家に入ると、新がキッチンテーブルで本を読んでいた。彼の隣に郵便物をどさっと置くと、彼が顔を上げた。

「何か面白いものでもあった?」と彼が訊く。

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