第7章

心臓が、跳ねる。薬のせいじゃない。彼の言葉のせいだ。

「新――」

「愛してる」と、彼は今度はもっと強く、もう一度言った。「姉としてじゃない。家族としてでもない。一人の男が、一人の女を愛するように、君を愛してる」

私は彼をただ見つめた。そんなはずがない。

でも、彼の瞳が、それが本心だと告げていた。

「そんなの、ありえないわ」

「どうして? 兄さんのせいか?」彼は私の手を取る。「兄さんが逝って、もう三年だ、姉さん。俺と君が、お互いに支え合ってきた三年。俺が日に日に、少しずつ君に恋をしていった三年だ」

光が、家の駐車場で新に車の整備の仕方を教えていたのを思い出す。「仕...

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