第102章

一晩中続いた高圧酸素治療と点滴を経て、未来の若い肉体は順調に回復の兆しを見せていた。

喉にわずかな嗄(しゃが)れが残る以外、あの頭がふわふわするような浮遊感は完全に消え失せている。

医師は念入りに検査を繰り返し、問題ないことを確認した上で、あと二日ほど経過観察をするよう勧めた。しかし、未来は強引に退院手続きを済ませてしまった。

一つには母を心配させたくないという思いがあり、二つには、病院に充満する消毒液の臭いがどうしても好きになれなかったからだ。その臭いは、あの息詰まるような倉庫の記憶を呼び覚ましてしまう。

翌日、私服に着替えた未来はすぐには病院を後にせず、エレベーターで特別病室へと...

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