私の障害のある夫は闇の帝王

私の障害のある夫は闇の帝王

南ちゃん · 連載中 · 576.3k 文字

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紹介

「これは俺を誘惑する手段か?」蒼司は目の前の薄い寝間着を身に纏った女を見つめた。彼女の完璧な身体の曲線が目の前に晒されている。

「認めよう、俺はお前に惹かれている」

蒼司は勢いよく頭を下げ、薄い唇で私の鎖骨に噛みつき、指先は私の胸の豊かな膨らみから下へと辿り、両脚の間に押し入った。

私は彼にベッドに押し倒され、彼が私の身体にもたらす快感を感じていた。

「いい子にして、俺を受け入れろ」蒼司は勢いよく私を貫いた。


元夫と従妹の裏切りに遭った後、会社の損失を補うため、未来は身体障害で顔に傷を負った蒼司と契約結婚することになった。

しかしある事故で未来は発見する。蒼司は顔に傷もなく、身体障害でもなく、それどころかこの街全体を支配する闇の帝王だったのだ。

未来は恐れ、この恐ろしい男から逃げ出そうとするが、蒼司は何度も彼女を連れ戻す。「契約は無効だ。俺はお前の身体だけでなく、心も欲しい」

今度こそ、彼女は本当にこの危険な男を愛してしまうのだろうか?

チャプター 1

「やめて!」

悲鳴が、病室の死寂を切り裂いた。

未来は弾かれたようにベッドから身を起こした。冷や汗が薄い寝巻をぐっしょりと濡らしている。

視界を埋め尽くすのは刺すような白。鼻孔には、消毒液の冷ややかな臭いがまとわりついていた。

足早に入ってきた看護師は、彼女が目覚めたのを見て安堵の息を漏らす。

「目が覚めましたか? 気分はどう?」

未来は答えなかった。ただ荒い息を繰り返し、虚ろな瞳で虚空を見つめていた。

その様子を見た看護師は、あやすように声を和らげた。

「あまり気を落とさないでくださいね。残念ですが、赤ちゃんは助かりませんでした」

「でも、不幸中の幸いで母体は無事です。体を養生すれば、また機会はありますから」

子供が……死んだ……?

その事実が、重い石のように未来の心にのしかかった。

彼女は呆然と頭を垂れ、震える手で、未だ平らなままの下腹部に触れた。

そこには、二ヶ月もの間、小さな命が確かに息づいていたはずだった。

脳裏に、あの薄暗く湿気た廃倉庫の光景がフラッシュバックする。

誘拐犯の獰猛な笑み、目の前でちらつくナイフの冷たい輝き。それら全てが、今まさに目の前にあるかのように鮮明に蘇った。

「赤木羽龍、選べ」

「お前の嫁の未来か、それとも初恋相手の小寺杏那か?」

男の声はざらついていて残忍で、まるで死神の宣告のようだった。

未来の視線は、少し離れた場所にいる男に釘付けになっていた。五年もの間、愛し抜いた夫だ。

彼女は、羽龍の視線が自分と従姉妹の杏那の間を行き来するのを見た。その迷いこそが、錆びたナイフのように彼女の心をじわじわと切り刻んだ。

やがて、彼女は見てしまった。羽龍が迷うことなく、自分の背後で震えている杏那を指差すのを。

「杏那を解放しろ」

その瞬間、未来の世界が音を立てて崩れ落ちた。

脳裏に浮かんだのは、今朝受け取ったばかりの検査結果だった。

【妊娠八週目】

医師の祝福の笑顔がまぶたの裏に焼き付いている。本来なら今夜の結婚記念日に、このサプライズを彼に伝えるはずだったのに。

「どうやら旦那はもう決めたみたいだぜ」

誘拐犯のナイフが未来の首筋に押し当てられる。ひやりとした感触に、全身が粟立った。

「遺言はあるか? 薄情な旦那に言い残したいことは?」

未来は刃越しに羽龍を見つめ、渾身の力を振り絞って訴えた。

「羽龍、私、妊娠してるの」

「もう二ヶ月なのよ」

言い終わるか終わらないかのうちに、羽龍の背後に隠れていた杏那が、か細い悲鳴を上げた。

「羽龍、私、怖い……」

その声は小さかったが、未来の最後の希望を打ち砕くには十分だった。

犯人は愉快そうに高笑いした。このショーに満足しているようだ。

「おい聞いたか羽龍? 嫁の腹にはガキがいるらしいぞ。最後にもう一度チャンスをやる。どっちを選ぶ?」

未来の心臓が早鐘を打った。彼女は彼を見つめ、瞳の奥に一縷の望みを灯した。

二人の子供なのだ。

羽龍が苦渋の表情で答えあぐねているのを見て、犯人は背中を押してやることにしたらしい。

手下に目配せをすると、ガラの悪い男たちが二人、未来と杏那の左右に立った。そして粗暴な手つきで二人の服に手をかけた。

犯人はスマートフォンを構え、その屈辱的な光景を撮影し始める。

「ビリッ」と、服が引き裂かれる音が響いた。

羽龍の両目が充血し、犯人を睨みつけた。

「二人に触れるな!」その声には怒りが満ちていた。

犯人は羽龍の言葉など意に介さず、卑猥な視線を未来の肌に這わせた。「へえ、お前の女、肌がすべすべで極上じゃないか」

「気が変わった。どっちか選ぶなんてやめだ。二人とも俺がいただくことにする。俺の兄弟分たちも腹を空かせてるんでね!」

「全員で楽しんだ後は、裸のまま通りに放り出して、ホームレス共にでもくれてやるさ」男は下卑た笑い声を上げた。

胸元に伸びてくる手を見て、未来の目から涙が溢れ出した。必死に後ずさりながら、縋るような視線を羽龍に向ける。

「羽龍、助けて! お願い、私たちの赤ちゃんを助けて!」

もし乱暴されたら、子供は間違いなく助からない。恐怖が彼女を支配した。

杏那も負けじと羽龍を見つめたが、その腹の中では計算が働いていた。未来がこいつらに殺されれば、羽龍は私だけを助けられる。

そう考えると、杏那はわざとよろめくふりをして、未来の方へと体をぶつけた。

未来の斜め向かいには、犯人のナイフがある。

突き飛ばされた未来の首筋に、鋭い痛みが走った。一筋の血が流れる。

隣の犯人は未来がぶつかってきたのを見て激昂した。「クソアマが! 何しやがる!」

乾いた音が響き、犯人の平手が未来の頬を張った。

未来は口端から血を流し、助けを求めるように羽龍を見た。

しかし、耳に届いたのは、相変わらず断固とした、そして焦燥に満ちた夫の声だった。

「俺は杏那を選ぶ! 彼女を放せ! 金ならいくらでもやる!」

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「戻ってきてくれ」と。

けれど、もう遅い。

私が去ったあの日こそが、私が本当の自分を取り戻した日。

もう二度と、過去には戻らない。