第199章 誰が俺が彼女を好きだと言った?

「蒼司、部屋に戻りましょ。気持ちよくしてあげる」

リビングの真ん中で絡み合う二人を、未来は呆然と見つめていた。蒼司は伊沙を突き放そうともしない。

バッグのストラップを握る指に力がこもる。唇を噛みしめすぎて、血の味がした。それでも、声だけは喉の奥に押し込める。

謝ろうとしていた。どう言えばいいか考えていた。

なのに彼は、別の女と戯れている。

――でも、わかっている。

自分の立場を。口を挟む資格なんて、ない。

それがいちばん苦しかった。胸の奥が、レモン水に沈められたみたいに酸っぱく痛んで、息が詰まる。

視界がじわりと滲む。涙が、瞳の縁で揺れていた。

未来は勢いよく踵を返し、よろ...

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