第26章

「未来! そんな酷い言い方はやめろ!」

羽龍の顔色が瞬時に沈んだ。

「結婚していた間、俺はなにひとつお前を裏切るようなことはしていない!」

裏切っていない?

もし本当にそうなら、あの子はいなくならなかったはずだ。

羽龍の顔を見ていると、一文字でも言葉を交わすのが時間の無駄に思えてきた。

未来はこれ以上彼と関わりたくないと、きびすを返して歩き出した。

「待て!」

羽龍が一歩踏み出し、再び彼女の前に立ちはだかる。

「どうすればあの枠を譲る気になる?」

彼は未来を上から下まで、値踏みするように眺めた。

「杏那は三年以上の実務経験があるし、今回の講演のために万全の準備をしてきた...

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