第62章

蒼司は手元の書類に目を落とし、わずかに眉を寄せた。

やがて彼は顔を上げ、その深淵のような瞳を、煌々と明かりの灯る隣の別棟へと向けた。

同時刻、別棟の二階。

未来の行く手は、突如現れた四人の男たちによって完全に塞がれていた。

彼らから漂う安酒の臭気と、その下卑た表情が、彼女の逃げ場を奪っていた。

頬の火照りは増すばかりで、体内で暴れ回る得体の知れない熱が、彼女から急速に力を奪っていく。未来は爪を掌に食い込ませ、その鋭い痛みで、辛うじて残る理性を繋ぎ止めた。

「何かご用でしょうか」

未来は気丈に振る舞おうとしたが、その声は微かに震えていた。

「誕生パーティーの会場は裏庭です。場所...

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