第85章

羽龍は、その命令口調の拒絶に顔色を曇らせた。

彼は乱暴に蒼司の手を振り払うと、眼底に怒りの炎を燃え上がらせた。その態度には、隠しきれない上位者特有の傲慢さが滲み出ていた。

「俺に指図するな!」

蒼司が目を細める。

彼が纏う空気が一気に凍りつき、口を開こうとしたその時――。

「いい加減にして!」

凛とした声が、一触即発の空気を切り裂いた。

未来は足の傷も顧みず、布団を跳ね除けてベッドから降り立った。

急な動作に傷口が引き攣り、顔色はさらに蒼白になったが、彼女は奥歯を噛み締めて耐えた。そして迷わず蒼司の前に立ち、その長身を自分の背でしっかりと庇ったのだ。

未来は氷のような視線を...

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