第97章

病院、特別病棟。

数日の静養を経て、安良波の顔色はずいぶんと良くなっていた。

未来がベッドサイドで林檎を剥いていると、不意にノックの音が響いた。

顔を上げると、フルーツバスケットと花束を携えた羽龍が入ってくるのが見えた。

未来の手がわずかに止まり、眉間に微かな皺が寄る。

「何しに来たの?」

声に熱はなく、むしろ拒絶の色が滲んでいた。

先日、母を病院まで送ってくれたことには感謝しているが、それについては和紗を通じて礼の品を送り、借りは返したはずだ。

これ以上、この男と関わり合いになるつもりはない。

羽龍は荷物を置くと、温和な笑みを浮かべて安良波を見た。「伯母様のお見舞いに伺い...

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