第98章

病院、特別病棟。

未来が病室に戻ると、ちょうど付き添いのヘルパーが夕食を運んできたところだった。

「お母さん、数値は順調に回復してるって先生が言ってたわ。あとは安静にしてればいいそうよ」

未来はベッドの背を起こしてやりながら、優しく声をかけた。

安良波は娘の少し蒼白な顔色を見て、心痛な面持ちで言った。

「私のことばかり構ってないで。あなたこそ、まだ何も食べてないんでしょう? 早く何かお腹に入れなさい」

未来が答えようとしたその時、病室のドアが控えめに二回ノックされた。

マスク姿の若い看護師が顔を覗かせる。手には一枚の伝票を持っていた。

「川原未来さんはいらっしゃいますか?」

...

ログインして続きを読む