第10章

人間とは、困難に立ち向かうのが苦手な生き物だ。

私はホテルの部屋のカーペットに座り込み、膝の上にはノートパソコンを広げている。画面には、四年前のフォーラムの投稿ページがまだ表示されたままだった。

窓の外では吹雪が依然として荒れ狂い、神宮寺凌との連絡は途絶えたままだ。

私はずっと、自分を騙し続けてきた。

どうして私の記憶はいつも途切れ途切れなのだろう? どうして神宮寺凌にタバコを押し付けられたことは思い出せるのに、その後に何が起こったのかは思い出せないのだろう?

なぜなら、そんなことはそもそも真実ではなかったからだ。

私は目を閉じ、無理やり四年前の春を思い出そうと試み...

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