第20章

司は何も言わず、ただ彼女へ視線を落とした。

その軽々とした一瞥に、彩未は足元から這い上がるような悪寒を覚えた。

喉まで出かかっていた言葉を、慌てて呑み込む。

「九条グループの規律とは何だ」

大股でこちらへ歩み寄ってくる司の瞳には、冷ややかな不快感が渦巻いている。それを琴音は静かに見つめていた。

周囲の人間は皆、息を殺して俯いている。

琴音は小さく唇を引き結んだ。

「九条社長。ほんの腕試しのつもりでしたが、せっかくですので立ち会っていただけませんか」

そう言って、彼女はバッグから自身のデザイン画を取り出し、デスクの上に置いた。

その様子を見た彩未の目に、一瞬だけどす黒い憎悪が...

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