第27章

琴音はハッと我に返り、驚きの声を上げた。

「もしかして、ここに住んでるんですか?」

こんな偶然があるなんて。

司のような人間が、どうしてわざわざこんな小さなマンションを選んだのだろうか。

そういえば、隣にイケメンが引っ越してきたと管理人のおばさんが言っていたのを思い出し、エレベーターの中で、琴音は訝しげに司を見つめた。

彼が本当に隣のドアの鍵を開けるのを見て、わずかな疑いも完全に打ち砕かれた。

本当に、彼だったのだ。

「九条社長が、どうしてこんな所に……?」

琴音は顔を上げ、驚きに満ちた目を向けた。

司は微塵も動揺することなく答えた。

「ここが会社から一番近いマンションだ...

ログインして続きを読む