第29章

奥から姿を現した琴音の瞳には、静かな嵐が渦巻いていた。

振り返った彩未の目に、明らかな恐怖が走る。

「あ、あんた、いつからそこにいたの!?」

琴音は嘲るように口角を上げた。本人がいないところでは好き勝手に中傷しておきながら、いざ目の前にすると怯えるとは滑稽だ。

琴音に掴みかかろうと伸ばされた彩未の手を、司が力強く払い除ける。その動作には、隠しようのない嫌悪感が滲んでいた。

彼は琴音の前に立ち、外界からのあらゆる悪意を遮断するように彼女を庇う。

ちょうどその時、建が警備員たちを引き連れて駆けつけた。彼はドアの外に立ち、司の指示を待っている。

「建」

司の声は氷のように冷たかった...

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