第36章

「水原さん、一階に親戚だと名乗る女性がいらっしゃっています。お会いになりたいとのことですが」

電話を受けた時、琴音は図面の修正作業に追われていた。

「親戚」という言葉を聞いて、すぐに寧々だとピンときた。

「待たせておいて。すぐに行くから」

エレベーターの扉が開くと、エントランスホールのど真ん中に立つ寧々の姿が目に入った。

白いワンピースに身を包み、隙のないメイクを施した彼女は、いかにもか弱げな雰囲気を漂わせている。

すでに周囲には人だかりができ、ひそひそと囁き合う声が聞こえてきた。

「あの女、和也さんと不倫したくせに、よく水原さんのところへ来られたわね」

「水原さんの親戚だっ...

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