第52章

看護師は傷口の包帯を巻き直し、いくつか注意事項を言い含めた。

「しばらくは刺激物を控えてください。それに、これほどの重傷で手当てが遅れましたから、どうしても少し後遺症は残るでしょう。でも、普段からしっかりケアをすれば、日常生活に支障はありませんよ」

そう言い残して、看護師は病室を後にした。

病室に再び静寂が戻る。

琴音は立ち尽くしたまま司を見つめ、目頭を熱くしていた。

彼女の異変に気づいた司が声をかける。

「どうした?」

琴音は首を横に振った。

「なんでもありません」

司が信じるはずもない。なんでもないのに、目が赤くなるわけがないのだ。

「琴音、俺は本当に大丈夫だ」

不...

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