第57章

司は眉をひそめ、無意識のうちに口を開いた。

「この数値は、健常者のものとは思えない」

彼は建のほうへ首を向け、尋ねる。

「もっと詳しいカルテはないのか?」

建は一瞬呆気にとられたが、すぐにパソコンを操作し、従業員データを検索し始めた。

数分後、プロジェクターのスクリーンに一枚の診断書が映し出された。

「末期の肝臓がんね」

琴音が小さな声で言った。

「医師の余命宣告は……長くても三ヶ月」

会議室は水を打ったように静まり返った。

司がふっと、冷ややかな笑みを漏らした。

「家族の口座を洗え」

「九条社長、それは……」

違法行為だ――しかし、今の状況でそれを口にできる者は誰...

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