第6章
九条家の当主、九条司(くじょう つかさ)。
琴音の瞳が微かに揺れ、記憶が怒涛のように脳裏へ押し寄せてきた。
とうの昔に意図して忘れ去ったはずの名前が、再び目の前に浮かび上がる。
彼女の幼なじみ、司。
梨乃は早くから彼女の異変に気づいていた。その視線の先を追い、すぐにすべてを察する。
そして、声を潜めて説明した。
「九条さん、先月帰国したばかりなの。噂じゃ、彼女を探しに戻ってきたって」
その『彼女』とは、当然、彼にとっての高嶺の花だ。
琴音はすぐに我に返ったが、彼がとうに視線を外していることに気づく。
彼女は気に留める様子もなく、淡々とした口調で言った。
「最初から最後まで...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 第31章
32. 第32章
33. 第33章
34. 第34章
35. 第35章
36. 第36章
37. 第37章
38. 第38章
39. 第39章
40. 第40章
41. 第41章
42. 第42章
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
縮小
拡大
