第9章

二人の間にある一触即発の空気を感じ取り、寧々の顔には隠しきれない笑みが浮かびそうになっていた。

彼女は慌てて歩み寄り、なだめるように見せかけて火に油を注いだ。

「琴音、意地を張らないで、早く和也に謝って。私と炎が少し我慢すれば済むことだけど、和也はこの家のあるじなのよ」

和也が何よりも重んじるのは、自分の体裁だ。

家の中であろうと、外であろうと。

そして寧々は、弱く見せることや機嫌を取ることに長けており、彼の虚栄心をこの上なく満たしてくれた。

その言葉を聞いて、和也の胸で燃えていた怒りはいくらか収まったが、琴音に向ける視線はひどく冷酷だった。

琴音は彼らと無駄話をする気すら起き...

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