第108話大時計にチクタク

正直、この時点では、自分の恐れは杞憂だったのではないかと彼女は感じていた。もし妊娠したとしても、イーライが自分の子に背くはずはない。けれど、長いあいだ自分自身に課してきた約束を破ることだけは、どうしても素直に受け入れられなかった。

それは彼女が手にしているひとつの支配であり、まだ失いたくはなかったのだ。まして、それを失う危険のある行動など取りたくなかった。

「やめておくわ。それはあまりにも……」

「何が?」と彼は尋ねた。

「誘惑が強すぎるの」

彼はくすりと笑い、そのまま口づけようと身を寄せた。

彼女の手は反射的に持ち上がった。急な動きに鍵がじゃらりと鳴り、二人のあいだに差し入れて、...

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