第182話ついに二人きり(一緒に)

彼女は彼の抱擁の中へ溶けるように身を委ね、さらに強く引き寄せた。涙が喉の奥までせり上がり、閉じたまぶたの下からあふれ落ちる。

「覚えているのね」

たった一晩のことだったのに、永遠ほどにも長く感じられた。

もう二度と、こんなことは起きてほしくない。彼女には重すぎた。とても耐えられない。

「本当にすまない。君はそれほど大切なんだ。どうして君を忘れたりしたんだろう。どうして――」彼の声はそこで途切れ、腕の力がいっそう強まった。「ああ、イグナスよ、どうしてだ。愛している」

「私も愛してる。あなたのせいじゃないわ」彼女はわずかに言葉を切った。「でも、今は思い出してくれたのね」

彼は名残を惜し...

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