第192章-ある誰かの記憶

ベラドンナは手の中の短剣を弄んでいた。アノクが彼女を部屋の扉まで送り届け、その前に立って護衛につく前に渡してくれたものだった。

気がかりなことがあまりにも多すぎて、彼が王に逆らったことでどんな結果を招くのかまで考えが及ばなかった。しかも、イーライがあっさり彼らを行かせたことも意外だった。そのことが、棺を見つけた不気味さの上に、さらに胸騒ぎを積み重ねていた。

棺は空だった。だが、近づいたとき、そこに何かを感じた。何かを見た気もした。彼女はこめかみを指でこすりながら、部屋の中を行ったり来たりした。

王の寝室には戻らなかった。もうあそこは安全な場所とは思えなかったのだ。

しばらくして、扉の外...

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