第195章-さあ、始めましょう

「もう終わったのか?」

「本気で言ってる?」かすかな鼻笑いが漏れる。「あれが今まででいちばん優しくしゃべったんだけど」

彼女は肩をすくめた。

正直、危うくかかりそうだった。

危うくだったけど。

「さあね。ちょっと荒削りに聞こえた。自分で思ってたほど催眠的じゃなかったんじゃない?」

軽い笑い声が彼女の周囲に反響した。けれど今は、どこか遠い場所から響いてくるようでもある。彼女は短剣を握る手の力を緩めた。いずれ使わずに済むかもしれないと分かって、ほっとしたのだ。そもそも相手は目に見えない。しかも彼女は、その武器の扱い方すら知らないのだから。

だから、これでいい。

「少し練習すれば、君...

ログインして続きを読む