第202話ホントにキミに触れたい

彼女は本を乱暴に閉じて押しやり、鍵を使ってすでに部屋へ入ってきていたエリに向き直った。

彼は書斎にいるはずではなかったのか。自分のために山のように積み上げた巻物に埋もれて仕事をしているはずでは。あまりに量が多くて、彼女に手伝いを頼んだほどだったのに。

ああ、イグナスにかけて。彼から逃げ切るなんて無理だ。

「設計図よ。自分でやる」彼がほとんど一歩の距離まで迫ると、声はいつの間にか囁きにほどけた。胸の奥で心臓が暴れる。まだ本は手を伸ばせば届くところにある。

「必要なものはここから持っていけばいい。私の階に君のための書斎を用意する」彼の視線が、彼女が掌で押さえつけている本へ落ちた。「一緒に読...

ログインして続きを読む