第60章-鎖の下

頭上に広がる赤く水っぽい空は、いっさいの光を落とさなかった。だが、フードの陰に半ば隠れた、彼の頭上で揺らめく青い炎だけで、彼には十分だった。

彼らを取り巻く沈黙は、数時間前までここで猛威をふるっていた混乱の気配を、言葉もなく伝える術を心得ていた。

戦は起きた。そして勝者は、どこにもいなかった。

死は怒りに任せて去っていった――きっと戻ってくる。そして母の、息子への復讐の渇きは、いっそう熱を帯びていった。

タナトゥは身を潜めることを余儀なくされた。ひとつの領界を統べる王として、完全な姿のまま。

なんと惨めな光景だ。

もし花嫁が傍にいてくれさえすれば、こんなことにはならなかった。己の力...

ログインして続きを読む