第66話雨の炎

エフィデルの七つの空と、その下を流れる虹の川。

ベラドンナはこの場所を覚えていた。アラリスが夢に現れるようになった頃、彼が彼女を連れてきた場所のひとつだった。

彼に置かれた山頂に足が触れたとき、彼女の身体はわずかに揺れた。眼下でとうとうと流れる川の音が耳を満たし、見上げれば、空には一点の曇りもない月が冴え冴えと輝いていた。

「ここ……壁の外ね」

そう言って振り向き、彼を見た。

黒く革のような翼は背に畳まれていたが、それでも肩越しに、そびえ立つような存在感を垣間見ることができた。かすかに光を帯びた髪が、その輪郭にほのかな明かりを落としている。

「こんなところで、何をしてるの?」

彼...

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