16-仮面の男

今じゃない……!

だが、彼は歩みを止めなかった。そして、誰ひとり彼を止めようとはしない。部屋のあちら側では、召使いたちは皆、それぞれの用事に追われていて手が回らないのだ。

アラリスを止めるために自分が向こう側へ行けば、好奇の目を引くかもしれない。下手をすれば疑いさえ招くだろう。けれど、それでも――アラリスがこれからしようとしていることに比べれば、その結果のほうがまだずっとましだった。

思っていたよりもずっと速く足が動き、気づけば彼女はアラリスにぶつかるようによろめいていた。その衝撃で、復讐心に囚われていた彼もはっと我に返ったようだった。

だが、鉢の水ははねて、卓を囲んで座っていた男たち...

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