76-プッシュ、プル、プッシュ

それからしばらくして、イクルスが部屋へ入ってきた。アニヤはもう寝間着に着替えていて、ベッドの端に腰かけ、足を床につけていた。

「今夜はここでは眠れない」

不満をにじませた、ざらついた声だったが、アニヤは無視した。

「でしょうね。あなた、私の扉を壊したもの」

彼女は倒れた扉を示すように入口を指さした。これで二枚目だ。

「それ以外の被害がないだけ、感謝すべきかしら。狼に変じて、正気を失った獣みたいに私を追い回さなかったことには、お礼を言っておくわ」

彼は大きく息を吐いた。

「すまない」

アニヤは眉をひそめ、腕を胸の前で組んだ。

「正しい言葉を、遅すぎる時に口にするのね」

それか...

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