89-泥棒

オアナがこちらを振り向くと、アニヤは笑みを作った。

「また冗談を言ってるだけよ。行きましょう」

そう言うなり、アニヤはオアナの腕を引いてその場を離れた。魔女が呼び戻してきませんように――心の中で必死に祈りながら。

魔女の言葉について問い詰められないように、アニヤはすばやく話題を変えた。エルドリックと一緒に過ごす時間は楽しいか、と。

オアナは口元が裂けそうなほどの笑顔で、今回のウーリ祭が今までで一番だと語った。エルドリックがいるから、と。

「彼は幼なじみで――」

「知り合ったのは、まだ十代の頃よ」

「友だちだから、ああいうふうに振る舞ってるだけじゃない?」

「友だち同士で、手の甲...

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