第55章-陛下の恐れ

「何も恐れることはない。俺がすぐ傍にいる」彼は彼女の耳元で囁き、彼女はこくりと頷いた。

「先導なさってください、陛下。私はついていきます」

彼は、彼女の声にふいに宿った高揚を可笑しそうに、やわらかく喉で笑った。

「お前は不思議な娘だ、我が花嫁」

そうして彼は、脇に噴水のある回廊を彼女を伴って進み、薄暗く豪奢に飾られた大きな建物の中へ導いた。

美しく灯された長い廊下へ入ると、召使いの姿はどこにも見当たらなかった。

まるで二人きりになったような気さえする。

だがベラドンナには確信が持てなかった。王には、影に溶け込むことなど造作もないほど鍛え抜かれた兵がいるのだ。

やがて大きな扉の前...

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