第9章

美咲視点

市街地での追跡劇は、三十分にも及んだ。

正雄の運転技術は確かだったが、圭の手下の方が数が多く、彼らは桜京の道を隅々まで知り尽くしていた。さらに悪いことに、私たちの車は絶え間ない銃撃で蜂の巣になっていた。

そしてついに、私たちは桜京の海岸沿いにある崖道へと追い詰められた。

前方は荒れ狂う蒼洋、後方には圭の包囲網。両脇は切り立った岩壁がそびえ立っている。

逃げ場はない。

「降りろ!」正雄が私を車から引きずり出した。

激しい潮風が吹き荒れ、近づきつつある嵐の塩辛い香りを運んでくる。遠くで雷が鳴り響き、黒い雲が急速に空を覆っていく。

圭とその部下たちが私たちを...

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