第6章

「また今度話そうね、先生。もう疲れたから、眠りたいの」

 医師は溜息をつくと、扉の方へと歩き出し、ドアノブに手をかけたところで立ち止まった。

「椎名さんが帰る前、君の入院用口座に五百万振り込んでいったよ」

 私は一瞬呆気にとられ、それから口角を吊り上げ、予想通りだと言わんばかりの笑みを浮かべた。

「ほらね、言った通りでしょ。あの人は情に脆いんだって」

 医師が出て行ったあと、枕の下を探ると一枚のキャッシュカードがあった。

 椎名陸が残していったものだ。

 暗証番号は、たぶん私の誕生日だろう。

 このお金を使って、私は自分の墓地を選んだ。

 日当たりが良くて、静かで、椎名陸や...

ログインして続きを読む