第17章 平手打ち一発

松本淳太は、彼女があんなふうに笑うのを見て、目元に浮かんだ喜びを隠しきれなかった。冬の陽だまりみたいに、じわり、じわりと胸の奥を溶かしていく。

けれど当の二人は気づいていない。レストランの隅で、キャップを目深にかぶった人物がスマホを構え、レンズをこちらへ向けて――カシャ、カシャ、と何度もシャッターを切っていたことに。

その人物はうつむいたまま素早く会計を済ませ、席を立つと、足早にレストランを出ていった。夜の闇へ溶けるように、その背中は消える。

食事を終え、二人で店を出る。夜風はひんやりとして、心海のスカートの裾と長い髪をさらりと揺らした。

「まだ時間あるよな。あっちの庭、少し歩かない...

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