第42章 酒井家の人が来て後ろ盾に?!

「手を放してください。痛いです」

声はひどく落ち着いていた。彼を前にしているはずの人間が抱くべき感情が、そこだけごっそり抜け落ちているみたいに。

坂本紗彩が藤井父をぐいっと押し返し、心海を背中にかばう。

「何する気? 手ぇ出すつもり? ここ、こんだけ人が見てんだけど!」

藤井父は二歩よろけ、椅子にぶつかって体勢を崩した。みっともなく立て直し、口を開く。何か言って場を取り繕おうとした――けれど、浮かぶ言葉はどれも薄っぺらい。

もう、録音は流れた。

全員が、聞いた。

藤井母が吐いた言葉の一つひとつが、この場にいる全員の耳へ、深く刻み込まれてしまった。

藤井家の体面は、その瞬間――...

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