第45章 新しい生活が始まる

飛行機が着陸態勢に入ったとき、藤井心海は舷窓越しに外の空を見た。

それは、A市とはまるで違う空だった。A市の空はいつも灰色がかっていて、永遠に剥がせない薄いヴェールを被せられているみたいだったのに、ここは透き通るような青。水で洗ったみたいに澄んだ青に、白い雲がいくつか、のんびりと地平線に浮かんでいる。手を伸ばせば触れられそうなほど低く。

心海は思わず息を吸い込み、背筋を伸ばすように大きく伸びをした。口元が、勝手にふっと持ち上がる。

スーツケースを引きながら空港を出ると、地中海のぬくい風がぱっと顔に当たった。ほんのり塩の匂い。海塩の気配。10月のF国は、寒くもなく暑くもない、ちょうどいい...

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