第60章 新しい隣人

「ねえ、わかる? 今あなたが言ったことって、角度を変えて聞けば、まるで別の物語になるの」

「……どんな角度だ」

「もしかしたら、誰かが見えないところで私を守ってくれてる、支えてくれてるかもしれない。そう聞いて、あなたが最初に思ったのは『よかった。彼女はひとりで戦ってたわけじゃないんだ』じゃない。『その相手には何か魂胆があるかもしれない』、でしょ」

藤井心海は、かすかに口元をゆるめた。

「どうして自分がそんなふうに受け取るのか、考えたことある?」

酒井蒼真は黙ったままだった。

「あなたの中ではね、私に向けられる好意は全部、条件つきなの」

その答えを、藤井心海は代わりに口にした。

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