「銀の鎖」

白河家の年次チャリティー晩餐会は、港区にあるプライベート美術館の最上階宴会場で開かれた。招待客たちが行き交い、低く交わされる会話の響きが空間全体を覆っていた。

 

帰国後初めて、これほど大規模な家族の場に公式に姿を見せた屹の右腕に、細い手がそっと絡んだ。祀奈は薄いグレーのドレスを着て、余分な装飾は何もつけていない。鎖骨の下の銀色のチェーンが、照明を受けて時折ひかった。

 

ほとんど気づかれない程度の薄化粧で、全体的に「緊張しているが精一杯振る舞っている」という印象を丁寧に演出していた。

 

「屹さん、人がたくさんいて……」祀奈の声には、ちょうどよい怯えが滲んでいた。指先がわずかに力を込める。

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