第2章

先週のがっかりな誕生日会以来、この土曜の夜はひときわ静かに感じられた。

大きなボウルにポップコーンをあけると、湯気の立つ香ばしい匂いがリビングに満ちた。

ソファには三枚のブランケットがきれいに畳まれ、テレビにはネットフリックスのトップページが映っている。私たちの大切なムービーナイトの準備は万端だ。

毎週土曜日は、三人の兄たちが交代で映画を選び、私がお菓子を担当し、夜遅くまでソファに丸まって過ごすのだ。どんなに巧の仕事が忙しくても、裕真がトレーニングで疲れ果てていても、淳一のデートの予定がどれだけあっても、この時間だけはいつも四人のものだった。

スマホが震えた。

巧からのメッセージだ。「月、今夜はリスケしよう。美玲さんにヨガ教室に誘われたんだ。心と体にすごくいいらしい」

私は画面をじっと見つめた。

続いて裕真から。「お前もヨガやってみろよ。映画観るよりずっと有意義だって」

『映画を観るより有意義?』画面の上で指がさまよう。どう返信すればいいか分からなかった。

「今夜って約束したじゃないか」と私は返信した。

淳一からの返信は、ほとんど即座に届いた。「そんなに堅苦しく考えるなよ。たまに予定が変わるくらい、大したことないだろ?」

堅苦しい? お菓子でいっぱいになったテーブルに目を落とす。まるで、誰も来ないパーティーの準備をしてしまったような気分だった。

『たまに予定が変わるくらい、大したことない』。その言葉が頭の中で反響した。彼らにとって、私たちの時間は変えるべき『堅苦しい』ものなのだ。

テレビを消し、ポップコーンを容器に戻した。リビングが急にがらんとして、ソファの上のブランケットがひどく寂しげに見えた。

窓の外から笑い声が聞こえてくる。美玲さんのところへ向かっているのだろう。

―――

日曜の朝、私は書斎の入り口に立ち、ぐらぐらしている本棚を眺めていた。また何冊か本が床に落ちていて、『高慢と偏見』の表紙にはしわが寄っていた。

二週間前、裕真はこれを直すと約束してくれた。「今月中には絶対にやるから、月。約束する」。あの時、彼は自信満々に胸を叩いた。

本を拾い上げようと屈みながら、もう自分でやってしまおうか、と考えた。工具箱の中からドライバーを探していると、戸口から裕真の声がした。

「ああ、そこにいたのか」

振り返ると、戸口に彼が立っていた。手には電動ドリルを持っている。一瞬、本棚を直しに来てくれたのかと思い、胸に温かいものがこみ上げた。

「やっと本棚、直してくれるの?」

「ああ、いや」裕真は頭を掻いた。「道具を借りに来たんだ。美玲さんが部屋にフィットネスコーナーを作りたいらしくてさ。フィットネス動画を撮るために。手助けが必要だって言ってるんだ」

私の手は宙で固まり、ドライバーが滑り落ちそうになった。

「今月中に本棚を直すって、手伝ってくれるって言ったよね」

自分でも驚くほど、冷静な声が出た。

「ああ、そうだった、忘れるところだった……」裕真は危険な状態の本棚を一瞥し、それから手の中のドリルに視線を落とした。「でも、美玲さんがリフォームで急いでるんだ。動画を撮るって」

「私の本、もう三回も落ちてるんだけど」

「大丈夫だって、本は壊れないから。次は絶対にそっちを優先するから、な?」裕真はもう工具箱を漁って、他の道具を探し始めている。「美玲さんが言うには、このフィットネスコーナーはたくさんの人がもっと健康的な生活を始めるきっかけになるんだって。すごく有意義なことなんだ」

私は頷き、彼が工具箱を抱えて急いで去っていくのを見送った。

公園のスケートエリアは思ったより賑わっていた。淳一にもらったスケートボードを抱えて端に立つ。彼の言葉が蘇る。「お前も俺たちの世界に馴染むことを覚えないとな、月。スケートボードはかっこいいぞ、俺が教えてやる」

これは私のアイデアだった。彼らの好きなことを学べば、いつも仲間外れにされずに済むかもしれない、そう思ったのだ。

スケートパークを見渡し、淳一を探す。彼はすぐに見つかった。エリアの中央で、美玲さんを辛抱強く支えている。

彼女はピンクのスポーツウェアを着ていて、スケートボードは初めてのはずなのに、まるでパフォーマンスでもしているかのように優雅に見えた。淳一の手が彼女の腰に優しく触れ、バランスを取るのを手伝っている。その手つきは、私が今まで見たこともないほど優しかった。

「君は本当に才能があるね!」淳一の声が聞こえてきた。「月なんて、練習してた時、何度も転んでたのに」

美玲さんが軽やかに笑う。「もしかしたら、運動に向いてない人もいるのかもしれないですね。でも、その努力は可愛いと思います」

私はその場に立ち尽くす。手の中のスケートボードが、急に鉄のように重く感じられた。

『その努力は可愛い』。その言葉には見下すような憐れみが含まれていて、大人が不器用な子供を褒めるときの口調を思い出させた。

私は背を向けて歩き出した。足取りはどんどん速くなる。背後からは美玲さんの鈴を転がすような笑い声と淳一の賞賛が聞こえてきたが、誰も私の名前を呼ばなかった。

誰も私に気づかなかった。

―――

夕方になり、玄関で三人が出かける準備をしているのを見ていた。また美玲さんに会いに行くのだ。

「待って」と私は彼らを呼び止めた。

心臓は激しく鼓動していたが、今話さなければ、二度とチャンスはないと分かっていた。

「最近、みんな美玲さんを優先しすぎじゃない?私たちの約束はもうどうでもよくなったの?」

言葉が口から出た瞬間、後悔した。間違ったことを言ったからではない。彼らの顔に浮かんだ表情が――罪悪感でも、理解でもなく、苛立ちと非難だったからだ。

「月、お前は本当に些細なことにこだわるな」裕真が眉をひそめた。「美玲さんはここに来たばかりで、もっと助けが必要なんだ」

「それに彼女はすごく前向きで明るい。お前も彼女の寛大な精神を見習うべきだ」淳一が付け加える。その口調には説教じみた響きがあった。

「お前のことを気にかけてないわけじゃない。でも、他人を理解することを学ぶべきだ」巧の言葉が、一番胸に突き刺さった。

目の前にいる三人の男たちを見つめ、彼らが急に見知らぬ他人のように感じられた。いつから私は、彼らが守るべき存在から、「教育」されるべき存在に変わってしまったのだろう?

「わかった」と自分の声が聞こえた。「理解したよ」

「それでこそいい子だ」淳一は子供をあやすように私の肩を叩いた。「すぐ帰ってくるからな」

彼らの姿が通りの向こうに消えるまで、私は見送っていた。

―――

自室に戻り、日記を開く。青いインクが白い紙に跡を残していく。

『彼らが変わってしまったのか、それとも私がずっと彼らを誤解していただけなのだろうか?もしかしたら、問題は私にあるのかもしれない。もっと美玲さんみたいになるべきなのかな……?』

窓から笑い声が流れ込んでくる。三人の兄たちと美玲さんの声が混じり合い、とても調和がとれていて、完璧に聞こえた。

日記を閉じ、ランプを消した。暗闇の中、外の楽しげな声に耳を澄ませながら、明日はまたどんな約束が忘れられ、どんな伝統が変えられ、どんな誓いが「次は必ず」に置き換えられるのだろう、と考えた。

『多分、適応することを学ぶべきなんだ』と自分に言い聞かせた。『多分、これも成長の一部なんだろう』

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