第57章

相沢愛音がその場で新しく調合したアロマを手に戻ってくる頃には、昼食もだいたい出来上がっていた。

それを金田耀に渡すと、愛音は脇に立ち、静かに評価を待つ。

まず立ち上がるのは青々とした草木の気配。そこにかすかな樹脂の甘みが重なり、やがて花の香りがゆっくりと姿を現す。主張しすぎない、淡い花。木の香りと溶け合って、やさしいのに奥行きがある。最後に残るのは、薄いムスクの余韻。層が豊かで、どこか包み込むような香りだった。

金田耀は丁寧に香りを追い切ると、瞳の奥に一瞬だけ、感心と賞賛を滲ませた。

「悪くない、悪くない。この数年で腕、落ちてないな」

その言葉に、愛音はようやく肩の力を抜く。

祖...

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