第102章

古川礼人も、あの言葉に背中を押されたのか、低い声で続けた。

「そうだ。家族は家族だろ。いまは気が立ってるのは分かる。でも、あとで自分が後悔するようなことはするな」

――一人ひとりが、妙に情に訴える言い方をする。

古川朱那はそれを聞きながら、可笑しくもあり、悲しくもあった。

小さく首を振り、何も言わないまま背を向ける。そして、その場を去った。

リビングは、息が詰まるほど重苦しい。

使用人はすでに下がっていて、残っているのは古川家の父子四人と、床にへたり込んだ周防天華だけだった。虚ろな目で、どこも見ていない。

沈黙――それも、肌を刺すような沈黙が、全員を覆う。

しばらくして、古川...

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