第103章

「薬、替えようか? それとも先生を呼ぶ?」

古川朱那は彼と一緒に傷口を押さえ、血の気の引いた顔で焦っていた。

「……君でいい」

佐野一玄は大きく息を吸う。深い視線が、彼女の強張った横顔に落ちる。瞳の奥は読み取れない。

古川朱那はすぐ立ち上がって救急箱を取りに行き、必要なものを手早く並べた。

佐野一玄は素直に従い、自分で上のボタンをいくつか外すと、左の襟をずらして肩を見せる。ガーゼで巻かれた箇所から、血の匂いがふわりと広がった。

古川朱那は眉をひそめる。胃の奥の不快感をこらえながら彼の隣に腰を下ろし、ハサミで古いガーゼのテープを慎重に切った。

最後の一枚を剥がした途端、灯りの下に...

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