第114章

佐野一玄は小さくうなずくと、古川礼希へ視線を移した。

古川礼希もようやく光に目が慣れ、相手の顔をはっきり捉える。

その氷のように冷たい、美しさすらある横顔が視界に入った瞬間――雷に撃たれたみたいに全身がびくりと跳ねた。

唇が震え、声にならない。

佐野一玄――!?

なぜここに。数か月、姿を見せていなかったはずだ。

「古川家の次男殿、何をしている」

佐野一玄がゆっくりと言い放つ。

一言一言が、氷室から引き上げたばかりみたいに冷え切っていて、背中がぞくりとした。

古川礼希は膝が抜け、今にもその場に崩れ落ちそうになる。

「さ、佐野殿……ち、違うんです。俺は……妹を迎えに……ちょっ...

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