第123章

宮崎大奥様だった。

その声音はやさしく、けれど芯がある。たったそれだけで、張りつめていた会場の空気がふっとほどけた。

彼女の姿を認めた瞬間、宮崎元康はすぐに視線を落とし、目の奥にかすかな悔いの色を走らせた。

周囲も一斉にそちらを見る。――これで収まる。誰もがそう思った。

なにしろ、界隈の誰もが頭を下げる大奥様が口を開いたのだ。宮崎元康も佐野一玄も、顔を立ててこの件を流す。そうなるはずだった。

だが。

佐野一玄は、予想どおりには引かなかった。

大奥様の言葉が落ちきった直後、彼の表情はむしろいっそう冷えた。

「大奥様のお心が広いのは存じております。ですが――「済んだこと」で片づけ...

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