第126章

古川邦夫と古川礼和は、顔に貼りつけていた笑みを一瞬だけ引きつらせた。

だが父子は意地でも表情を崩さぬまま、長島ケンの下座に腰を下ろす。

「朱那くん」

古川邦夫は咳払いをして、これまでにないほど柔らかな声を作った。

「昨夜の件は、すべて誤解だった。宮崎大奥様がわざわざ、君の様子を見て来いとおっしゃってね」

古川礼和も慌てて言葉を継ぐ。

「そうだよ、朱那。どうせ同じ世界の人間同士だ。面子を立て合ってさ、こじらせないほうがいい」

そう言いながら、従者に目配せする。上質な包みの礼箱がいくつも卓上へ置かれた。

「これは、ほんの気持ちだ。古川家と宮崎大奥様からの……補償、というかね」

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