第132章

執務室は、ふたたび静寂を取り戻した。

古川本家を数日覆っていた重たい空気も、古川朱那のひと言――「分かった」――によって、嘘みたいに晴れていく。

皆が浮き足立った。長く続いた不運が、急に好転したかのように。

古川邦夫は自ら目を光らせ、屋敷の内も外も、塵ひとつ残さず磨き上げさせた。

庭の白菊も、少し萎れかけていた株はその夜のうちに抜き、咲き誇る新しい苗へと植え替えさせる。

周防雪葉が、生前いちばん好きだったのは白菊だったからだ。

邦夫は背中で手を組み、使用人を前に低い声で言い渡した。

「朱那が戻る日に、誰か一言でも間違えたら――皮を剥ぐぞ」

古川礼希と古川礼人も遊んではいない。...

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