第28章

古川朱那は小紅馬と少し馴らしてから鞍にまたがり、ゆっくりと二周ほど歩かせた。

不思議と、自分はこの馬と相性がいい気がする。

初めての人間には、まず「試す」馬もいる。乗せてくれなかったり、わざと暴れて振り落とそうとしたり。とにかく素直じゃない。

なのに小紅は、朱那が初日に会ったときからずっと大人しかった。鼻を鳴らして威嚇することすらしない。

二時間以上練習して、さすがに疲れた。朱那は馬から降りて休憩に入る。

佐野鶴が水のボトルを差し出してきた。

「一つ、面倒な話を聞いたんだ。聞く?」

朱那が顔を上げると、彼も今ちょうど馬を降りたところで、額にうっすら汗が滲んでいた。雑に拭っても、...

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