第36章

古川礼和はまだ回復しきっていないようだった。顔色は青白く、目の下も落ち窪んでいる。ただ、古川朱那を見る視線にだけ、わずかな後ろめたさが混じっていた。

けれど朱那は、彼を一瞥すらしない。

ぎゅっと握りしめた自分の手を見つめながら、朱那は考えていた。いったい、どうして――。

「たとえ天華がやったんじゃなかったとしても、言い方ってもんがあるだろうが。なんで警察なんか呼ぶ? 外に恥を晒したいのか?」

古川邦夫は、息子が朱那の肩を持つとは思っていなかったのだろう。権威を踏まれた怒りが、そのまま声に滲む。

冷えた顔で古川礼和を一度だけ見やり、釘を刺すように言った。

「家の人間は、外に向かって...

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