第56章

古川邦夫は笑みをいっそう深めた。古川朱那にも、まだ使い道がある――そう思ったのだろう。

とはいえ所詮は、小賢しい小手先で人を転がしているだけ。あんなもの、誰にでもできる。そうも感じていた。

古川礼和の眼差しが、すっと陰る。古川礼人と古川礼希もまた、複雑な顔を隠せない。

三兄弟は目を合わせた。まさか古川朱那がまたしても、あんなにも容易くマイルズ夫人の好感をさらっていくとは。――それなのに、自分たちにはできない。

その後のもてなしの晩餐は、古川家の広いダイニングで行われた。

主である古川邦夫が必死に話題を回し、古川礼人と古川礼希も次々と口を挟んで、古川家の「次代」を見せつけようとする。...

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